そんなことはアルマジロ

そんなこともアロワナ

ポケモンSVひと段落なので感想など書く日。

 

番外編、全体的にずっとバカっぽくて良かったですね。ポケモンってキャラゲーなんだなあと改めて思った次第です。

DLCも(たぶん)終わったと思うので、SV全体振り返ります。

 

個人の意見と憶測とその他もろもろのエゴに満ちた文章です。内部情報を何も知らない人間による好き勝手な記事です。

シングル対戦が比較的好き寄り(SVは1650~1850くらい)な社会人ユーザーですが、ストーリーやシステムについても当然触れます。

「普段から『ポケモンは対戦がすべて』とか『数値以外の何を見ろっていうんだよ』とか言ってそうな心を失くした哀れな大人から見ると、ポケモンというゲームはこういう世界なんだなあ」ということは、あくまで一例ですが、わかるかも。

 

最初に総括を書き、以下は良かった点、悪かった点をだらだらと書いていき、最後に「そういえば…」と思いついたことをつらつら書いていきます。要するに、とりとめがなくて、まとまりがない。

あと、本筋としてはそんなに大事じゃないんですけど、一応出さないと話ができないことがあるので、三値などには触れますし、俗語で書きます。特に種族値に関してはバリバリ公式用語でなくて申し訳ないのですがこの用語が明確に示されていないので使います(個体値は「生まれつきの強さ」、努力値は「基礎ポイント」と言うことはできますが、食い合わせが悪いので俗語を使います)

 

 

ポケモンSV総括

 

はっきり申し上げて神ゲーです。

ポケットモンスターという作品にこれまで触れてきた自分の人生の思い出が鮮明に蘇るほどに、ゲーム体験としての「ポケモンの一体何が面白かったのか」を誠実に表現しつつ、新たな試みとして(剣盾でユーザーからの不満が最も多かったであろう点を解決するということもあってか、)現代のゲームユーザー、特にライト層の肥えた舌に叶うナラティブを提供した点は(短い納期を考慮するに)賞賛に値します。

グラフィックスと処理に全力投球してそれ以外がほとんど顧みられなかったように見える(まあ、だからこそ対戦に関しては結構よかったと個人的には思ってるんですが)剣盾と、ゲーム性を開拓することに主軸を置くあまり現代的とはとても言えないゲームクオリティだったレジェンズアルセウスを高レベルに合流させ、さらにブラッシュアップすることで新ビジュアルを提示するとともに、得られた没入感をうまく活用してナラティブ、インタラクティブなストーリー体験まで発展させていると言えるでしょう。

ただ、これは「そういえば」でも触れますが、本当に開発がギリギリのカツカツでめちゃくちゃなんだろうなというのは感じました。第10世代の完全新作まであと2年弱しかないわけですが、この点はどうなることやらという感じです。

対戦面も(いつの世代も賛否はあるのでいちいち書かなくてもいいのですが)賛否の「否」は大いにあるものの、テラスタルシステムによる切り返しの要素、対面性能の高い攻め駒による崩し、耐久の全体的な弱体化による単純な受けループや無限型の咎め、サーフゴーとかいう必要悪(使いますが)の存在のすべてを1世代で完成させているのは恐れ入りました。過去最高クラスにバランスが取られているように思います(第6~第8世代が終わってただけかもしれません)。ただ、これも「悪かった点」で触れますが、「バランスが取られすぎている」ことがここまで窮屈だとは思わなかったので、この点はパッチを適宜当てて種族値を調整するとか、選出段階でテラスタイプが開示されてるルールを期間限定的に検討してみるとか、そんなことも必要だったかもしれませんね。そんなことする予算がどこにあるんだと言われれば、まあ、Homeの料金を上げるしかないでしょうし、難しいとは思いますけれど。

 

良かった点

 

ストーリー構成が絶妙

端的にいえば、ストーリーのが思いもよらない意外なところから生まれて、気づけばそれに没入していく「導線を感じさせない構成」の妙だと思います。

このゲームのストーリーは「ザ・ホームウェイ」がほぼすべてと言っても過言ではないと思うのですが、周回プレイをしてみると、意外にもこの「本当のストーリー」が序盤は見事に全く無視(というよりも隠蔽)されているということがわかります。

もちろん、ペパーという少年に何か秘密があるんだということも、博士の息子であるということも最初から分かっていますし、コライドン/ミライドンの存在を知る者としてもペパーは紛れもなくキーパーソンであるはずなのです。しかし、序盤では驚くほどあっさりと(ネモがぐいぐい引っ張ってくれるおかげで:ここ重要)この要素は無視されます。そのうえ「宝探し」が始まるやいなや「ペパーは3つあるルートのひとつにすぎない」という印象を与えられます。

いざ「レジェンドルート」に入り、ペパーのストーリーを深堀りしてみても、そこには思っていたような過去の秘密や博士との確執はほとんど描写されず、ペパーという健気な少年の思慮深く愛情深い、それでいて向こうみずで負けん気の強い性格が描かれていき(マフィティフの再生の物語という位置づけは、ペパーの立ち直りをミラーリングしていると言えばそうなのですが)、「ペパー良かったね」で話が片付いてしまいそうになるのです。

ただ、結果的には、この一連の過程は「ペパー良かったね」となることに最大の重きを置いているわけでもあり、同時に「ザ・ホームウェイ」の深みを高めるための施策であるということもわかるわけです。

現代的なゲームの宿命とでも言うのか、プレイヤーは何よりも自由が提示されることを望みますし、その中で自分がどのような体験をしたいかに重きを置きますよね。ただ与えられた本を読むような旧来のJRPGのナラティブ感というのはあまり取り沙汰されなくなったように思います。この点は「ゼルダの伝説ブレス・オブ・ザ・ワイルド」が国内市場に提供したものというのがかなりゲームチェンジャーだったと思いますが。

プレイヤーは自分の意志で3つのルートを攻略し(まあ義務感もそれなりにありつつですが)ペパーのストーリーを進めていきます。この過程で、プレイヤーはペパーの人生そのものをただ読まされるのではなく、まずペパーという少年の動機に共感し、助けてやりたいと思うようになります。愛犬の病気を治してやりたいと言われて全く興味がわかない・共感できない人というのは、まあ、うーん、それなりにいるでしょうが、そんなに多数派ではないでしょう。この辺は緻密に計算されていると思います。

つまるところ、プレイヤーはペパーを友人のように思い、その動機にも目的にも共感するというところが最初にあるわけであって、その後で「本当に読ませたいストーリー:ザ・ホームウェイ」が展開されるからこそ、彼の苦悩や決断といった在り様から深い感動を得られるのだと思います。

これが、最初から「このゲームはペパーが主人公です。この男の人生の物語です。プレイヤーはそれを見て助ける者です。他はサイドストーリーですが一応作りこみました」などと誰の目にも明らかなように定義されれば、おそらくポケモンSVは「感動の大作」と評価されることはなかったと思います。導線を感じさせないで、自由に選択する物語の中で自然に感情移入をさせる。SVはこの難題にうまく答えたわけです。

(あまり詳しくは書かない方がいいと思いますが、この点、ポケモンSMで一部からボロカスに批判されているところを見事に解決したと思っています。)

なお、DLC「ゼロの秘宝」のストーリーについては、特段私が語ることはないかなと思いますが、最後の方でちょっとだけ書いてます。

 

サウンドが極めて高いレベルのゲーム体験を作っている

音が良かったねってだけの話をややこしい言葉で書いているだけです。Toby FoxのいわゆるToby節がビンビリに効いている楽曲はやっぱり花形で、「南エリア」(最初にコライドン/ミライドンと冒険を始めるであろう場所)の旋律が、楽園防衛プログラム戦(「戦闘!コライドン・ミライドン」)でアレンジされて流れるというのは、古き良きJRPGの素晴らしさ。あそこは耳で多幸感に満たされ、頼もしい相棒の姿に視覚的に胸を打たれ、仲間たちのテキストで涙腺が緩むという、まさに「ナラティブのなんたるか」を体現しているようなシーンだと思います。

個人的には(多分、佐藤仁美担当だと思うんだけど)「決戦!ネモ」のキラキラしたエレクトロニカのステップワークとでもいうべき音の跳ね方が、一番好きなポケモンBGM「戦闘!チャンピオンアイリス」を彷彿とさせてすごく良かったです。どちらのバトルも「純粋なバトルそのものを心の底から楽しむためには、真に優れた(あらゆる意味で)トレーナーと、極限まで鍛えられた(あらゆる意味で)ポケモンたちがそれぞれに必要」という文脈が同じなのもいいですね。健全いいよ。

あとは、テラレイドバトルという苦行のBGMをポケモン音楽史上屈指の名曲として美麗かつ勇壮に仕上げてくれたおかげで、あの遊びの不快感がずいぶんマシになりました。藍の円盤の最後、「戦闘!ゼロの秘宝 テラパゴス」でアレンジされた時も、すんなり入ってきたし、ちゃんとクライマックス感と高揚感を感じられたのは良かったと思います。テラスタルの総本山感がちゃんとあった。

 

ポケモンたちの魅力と世界感の高レベルのマッチ

ポケモン、まあ、俗に言う「パルデア戦闘民族」のバトルフェイスの連中ですが、彼らがみんな生の躍動ありありと生きている自然感・野生感は素直に感動しました。表現的にゼルダの影響はかなり受けていると思うんですが、モーションも細かく設計されていて、生息感を感じられる点もよかったです。デザインもみんな良かったですね。あきらかに「外しにきてる」スコヴィランとか、性能はこれ以上盛れないけど愛で使ってくれって顔をしている仮面ライダーブラックサンとか、キモがられてるけど俺は好きなヘイラッシャとか。あとただの鳥とか、ギリギリ著作権セーフねずみとか色々いましたね。ラウドボーンのおしりがかわいくて大好き。

そして、そんな初めて出会う生きているポケモンたちの魅力と、「こいつらはなぜここに生きているのか」というのが直感的に矛盾しないこと。これもかなり素敵でした。特にいいなと思ったのはナッペ山に向けて登山を開始した時ですかね。雪山に初めて足を踏み入れた瞬間に、アルクジラの大群と遭遇するわけですよ。ぽてぽて歩いていてとてもかわいい。「標高が上がって、植生も変わって、ポケモンの生息域も変わるんだなあ」というリアルな肌感覚がありました。なんでこういうのレジェンズアルセウスではあんまり感じなかったのか不思議なんですが、まだ言語化できてないです。

あと細かいところですが、ゴーストタイプのポケモンは廃墟や人の手の入っていない場所に集中していたり、ぱっと見て野生生物感も鉱物感も薄い、たとえばスリーパーやらサーナイトやらといったポケモンたちの多くも廃墟や街の近くに住んでいたりなど、生態系の雰囲気をなるべく壊さないように配置されているのもお見事でした。ガバイトやヤトウモリがちゃんと洞窟にいるのって当たり前なようで当たり前じゃないですからね。

とか思ってると、逆に湖に寿司に擬態したドラゴンポケモンが落ちていて「なんだポケモンかと思ったら寿司か…」ってなるわけですけど、そのギャップをつけるという意味でもかなり良くできてたのかなと思います。

 

対戦が楽しすぎる

対戦が楽しすぎますね。(もちろん悪いところでも触れるので安心して欲しいんですが、)環境が目まぐるしく変わり、3日前の戦術がもう通用しないなんてことはザラにあるっていう、webサイトやYoutubeを中心としたインフラの普及とそれによるメタの回転と、適時最適な解を探すという試みの駆動感がすごくよかったです。私はシングルバトル:ダブルバトル=8:2くらいでやってるのでダブルについてはあまり語れるところがないんですが、シングルって完全に構築ゲーだと思ってるので、構築にずっと頭を悩ませることができるのは本当にいいなあと思います。

ラスタルも最初は「こんなのただのじゃんけんじゃないのよさ」と思っていたんですが、結局は理にかなってないテラスタルは駆逐されていきますから、そこそこの順位より上ではびっくりテラスクソバトルみたいなことはあんまり起きない(起きないとは言ってない)ので、いかにして負け筋を潰すかという健全なポケモンが比較的できていたと思います。零度パオジアンだけはちょっと、かなり、絶望的に不健全なので没収していいと思いますが。

対面テラスじゃんけんが発生するリスクを立ち回りでどこまで下げるかとか、どの程度のリスクは割り切ってどの程度は受け入れるのかとか、相手の構築見てテラスタイプをだいたい割り出しちゃおうぜとかっていうのは本質的にはメガリザ検定と同じなので、そこまで苦痛ではないむしろ楽しい、って感じでした。

今作に限ったことではないですが、ちゃんと構築を練れば、使用率50位くらいのマイナーを組み込んでも、それが理にかなってさえいれば、まともに勝ちを量産できるという経験は結構気持ち良いですね。HBベースのブジンでパオウーラぶっ飛ばすの本当に気持ちいいです。一番勝率が良かった時はレギュEの初期で、ブジンセグっていう誰も使ってない並びで13連勝とかして気持ちが良かった。でも本当はカイリューサーフが好き。

 

悪かった点

夥しいバグ、細かい仕様と意味不明なUIの不便

はい。今更言うことでもありませんね。だいたいはパッチで修正されています。ですが、未修正のものをお出ししている歴史上の事実そのものは変えようがないので一応触れます。

バグに関してはもう本当にお粗末以外の何物でもないです。ランクマが開幕するまでの間みんながあれこれ試して遊んでいたオンラインカジュアルマッチで対戦開始時の乱数が固定されているという意味不明なバグ、増殖バグ、グラフィック面では地面に埋まるバグ、浮遊バグ(たぶん仕様と言い張ってこのまま続く)、主人公の体が愉快なことになってしまうバグ。バグではないですが、初期版では処理落ちがひどすぎて野生のポケモンと遭遇するのが苦痛なレベルでした。

仕様の不便さは慣れてしまえば…と言いたいのですがいまだに不便さを感じ続けています。代表例はLRページ送りが全体的に廃止されているという点です。ポケモンに道具を持たせるときに爆速でスクロールする道具欄から目星の道具のアイコンを瞬時に見抜いて目止めする技術だけが高まりました。「よく使うアイテムをピン止めする方法がある」とか言われるかもしれませんが、普段の努力値振りのために上の方はすっきりさせておきたい関係上、固定できるのはせいぜい珠と拘り3種にチョッキくらいが関の山で、たまに使う粘土とか脱出パックは結局探す羽目になります。他にも選出画面の仕様の意味不明さ、対戦画面のタイマーの不備・不在…。まあ、いいです。

意味不明なUIは枚挙にいとまがないので2つだけ本気でうんざりしていることを書いておきます。ひとつはマップの最大引き画面で「空を飛ぶ」ができないことです。これに関しては技術的にどうこうではなく、こじゃれたグラフィックを優先して利便性を切り落としているとしか思えません。もうひとつはカメラ機能からトレーナーカードの更新に直通させる方法がないことです。「偶然取れたこの写真いいね」となる可能性が考慮できないのはどう考えてもおかしいですし、そもそも同じシステムを使うはずの機能を最終的な格納先が違うだけで2系統(アイコンも含めると3系統)用意しているのが実装上意味不明です。

この辺は新しいものをリリースするたびに今後も向き合うことになる現象だと思います。全体的な作りこみがコンシューマのフルプライスとしてはかなりありえないレベルになっていると言わざるを得ません。藍の円盤でもマーイーカバグが有名ですよね。

 

ユーザーを舐めているとしか思えないお遊戯レベルのミニゲーム(レイド含む)

はい、ジムチャレンジとサンドイッチに代表される虚無時間のことです。ジムチャレンジについてはもう語りたくもありません。ミニゲームのどうしようもなさはSMからずっとそうですね。

サンドイッチについては、剣盾のカレーの頃からかなり嫌な予感はしていたのですが、ここまで意味のないものを提示されると正直、大変な気分だなということです。(悲しいかな色厨なので)繰り返し試行により作業が最適化され全く気にならなくなりましたが、それは虚無時間を作業的に済ませることが可能になったというだけで、ゲームの面白さには一切貢献していませんし、むしろストレス要素になっています。

これが、過去のポロックなどのように「完成品をストックできて、いつでも使うことができる」という形式であれば、おそらくここまでストレスは溜まらなかったと思います。むしろ友人とサークルを囲んで高ランクのサンドイッチを量産するというような遊びが成立したかもしれない(ランダム要素もつけて)。効果時間が30分のパワー要素を適宜料理してつけるというシステム、そろそろやめられないかなあと思う次第です。まあサンドイッチは操作性とレスポンスが終わってるのでどうせアレですが。

レイドバトルも全く同じ理由でダメですね。剣盾からずっと言われていることですが、ポケモンのゲームシステム上、同じ作業を延々と繰り返しやることになるわけですから、「失敗:何も得られないで時間だけが無駄になる」があり得る構造のゲームを作った時点でストレスにしかならないです。私含めハピナスレイドしか周回しないという人が多いのは、動作が不安定でひたすらに時間のかかるゲームをやらされているのに「たまに負ける」のが不快でしかないからです。例外は「最強レイド」や「イサハ・ミナモレイド」でしょうね。あの辺は「ただ1度きりの獲得」を目標に据えているものが多いので、そこまで嫌われていない印象です。

鬼退治フェスは難易度調整がされて比較的クリアし易くなったと聞きましたが、結局木の実全部回収してからはやってないですね。あまりにもつまらない。アッキが全然でなくて吐きそうになりながら何周もしました。募集掲示板がなければ心が折れていたと思います。ご一緒した皆様に心より感謝します。

 

(シングル)対戦環境のバランスが(一部の強ポケのみによって)取られすぎている

正直言って、贅沢な悩みであることはわかっています。が、これは結構多くの人が感じていることだと思います。このゲームは環境上位のポケモンたちによって作られたメタが極めて強固であり、「何かしらの一点の対策によってマイナーポケモンが輝く」という可能性をボコボコに封殺しています。カイリュー・ハバタクカミ・オーガポン・パオジアン・ウーラオス・サーフゴー・テツノツツミ・ガチグマ・ディンルー・ランドロス・塩…。

だれか1匹が化け物じみた強さを持っているわけではなく、こいつら全員が化け物です。並以下のポケモン1.5匹分どころではない、2~3匹分の強さを持っています。このうちのだれかにガン刺さりするマイナー戦術を閃いてウキウキでレートに潜っても、まずその仮想的が必ず出てくるわけではないですし、運よく仮想敵と当たっても、仮想敵と一緒に出てくる他の連中もちゃんと化け物なので、3秒でプラン崩壊、そのまま世界崩壊でswitchを投げてさようならです。こんなことに軸足を置いていたら一生まともに対戦が成立しません。

もちろん、こういうことを言うと、「レート上位報告のPTにマイナーが入っているのを見たことがある」「んんwww役割論理で2000達成報告がありますなwww」「厨パを知らんのか」「サンダー時代を知らんのか」という意見が出てくるとは思うのですが。まあ、個別の回答は控えますが、そうはいってもみんな窮屈さは感じているはずです。そう、とにかく窮屈なんですよね。

もちろん、環境は回っています。ハバタクカミの電磁波採用などは初期ではあまり見られなかったもの(シーズン3での電磁波の採用率は10%;シーズン12では驚異の30%)ですし、パオジアンのテラスタイプの流行り廃れは毎シーズン変化します(シーズン10とシーズン11の間だけで悪テラスが22%も増えています)。他にもウーラオスがパンチグローブを捨ててスカーフを巻きだしたり、ディンルーのテラスタイプが毒になったり妖になったり、カイリューの型が200色あったり。ブエナツツミがアンコールしてくるよなあ、というのがかなり常識に近くなった後で、眼鏡ツツミがドロポンで全てを破壊してきたりすると。こういったメタの回転はかなり目まぐるしく、環境変化は確かにあります。

ただ、それはこいつらの中で変化を回しているだけです。この点は、テラスタルはもとのポケモンが強ければ強いほど真価を発揮するシステムだからというのが大きいです。

ましてや「出し負けたら最後、半端な耐久では半減だろうと絶対に受けきれない」ほどに崩し性能の高い駒や、「変化技効かないのに火力も耐久も耐性も申し分ないサーファー」が追加されていますから、マイナー戦術の苦しさたるやということですね。要するに、強いポケモンたちの層が厚すぎて、一般ポケモンのほとんどは何もできることがないという状態になっているわけです。人外魔境です。

まあ、私自身はこの「最強ポケモンたちが身内ノリでお遊戯を回している」感じの環境は正直めちゃくちゃ好きなので、マイナーポケモンなぞ使えなくても一向にかまわないのですが、「動画ネタを欲している実況者」様がたと、「それを見ている視聴者」様がたは、かなり苦しいだろうなあと思っています。また、ここが苦しいとコンテンツのブームが冷え込むのが早くなりそうな気がします。

 

パケ違い準伝説(本編クリア必須)という狂気

あまり長く書くと怨嗟の声で危険な記事になってしまうので、この件についてはできるだけ控えめに書きます。

これだけは、正直、端的に申し上げて「うんち」です。イサハとミナモは期間限定レイドで捕獲数固定でしたが、サブロムとアカウント(およびswitchオンラインファミリープラン)を必要数用意するだけで複数個体を瞬時に獲得できる仕様でした。まあ皆さんだいたいそれぞれ2, 3匹は捕まえたと思います。イサハにそれだけの価値があるかどうかは別として、交換の種にはなりますしね。ただ、ウガツホムラ、タケルライコ、テツノカシラ、テツノイワオに関しては、絶対に本編のストーリーを進める必要があります。そのうえでバージョン違いです。そのうえ、USMの頃のように無制限捕獲でもありません。1周につき1匹です。こんなのダメだって。ダクマだってもっと良心的だったよ。涙を流しながら年末年始に周回しました。バッジのレベルキャップ制度も判定基準が親IDでなく入手レベルに変わったので、周回すら面倒くさい…カラミンゴRTAにはお世話になりました。

 

そういえば…

 

伏線って全部放り出した感じで良いんですか

藍の円盤が終わり、番外編も終わりましたね。これ以降、SVとしてのストーリーテリングは出さないということでしょうか。まあ公式からのアナウンスが何もない以上は「わからない」で終わらせていいのでしょうが、少なくとも私が認識している限りでは以下の内容については一切触れずじまいというか、わからないままで終わっています。

 

パラドックスポケモンの時系列上の矛盾(特に未来組)の理由は?

・(ネットの邪推や考察レベルですが)大穴とカロス神話と厄災、相互の関係は?

・なぜテラスタルエネルギーがタイムマシンを可能にしたの?(テラパゴスには願いをかなえる力がある?)

・オーガポンと共に生きた異国の男とは?(ヘザー?)

・あいつらなんで生き返った?

スグリのアレなに?(十中八九αのアレだろうけど)

etc. etc. etc....

 

特に「パラドックスポケモンの時系列上の矛盾」についてはかなり重要で、これはつまり「未来(過去)のポケモンを現代の博士がタイムマシンで呼び出したのに、それよりも200年ほど過去に生きていたヘザーがそのポケモンたちの存在を知っている」という点です。これは作中でペパーがわざわざ言及しています(エントランスホールのバイオレットブックのシーン)。

 

時空のゆがみでうんぬん。

実際は過去とつながってうんぬん。

またはヘザー自身が未来に行っていてうんぬん。

あるいはタイムマシンがポケモンをヘザーのいる時代に送ってしまってうんぬん。

 

いうような説明をするなら、それはそれで1文で済むので、どこかでして欲しいなあと思います。こういうのアニメで回収というのはちょっとナンセンス寄りですよね。ひとつの作品で閉じてないというのが。

まあ、全部まるっと投げられて終わりなのかなという感じもします。少し残念。

「いやもともとポケモンなんてそんなもんだろ」と言われればそうなんですが、少なくともUSMの頃なんかはウルトラビーストの起源だとか、どんな世界から来たのかとかを説明する気概があったじゃないですか。HGSSアルセウスイベントをリッチに作ったりとか、XYはストーリーもそれなりに決着のつく形で終わっていますし、ポケモンも物語の表層の人間関係描写だけでなく、世界の深奥とか伏線についてちゃんと語っていこうというのは流れとしてはあったと思うんですよ。何より、神話を読み解いたりする過程って「冒険」のすごくワクワクする要素なので、ポケモンの原体験としては残してほしいなあという要望もあります。レジェンズアルセウスなんかもそこは比較的真面目にやってましたね(増えた謎の方が多いとか言ってはいけない)。

答えが厳密に提示されていなくとも、冒険でそのヒントを明かす過程があれば良いのです。ミュウツーが生まれた経緯を手記から読んで「はえ~~」ってなる、点字を読んで「はえ~」ってなる、ああいうことです。

ただ、そういうのはかなぐり捨てて、とにかく次の作品を作らないといけないというのがあるのでしょう。このコンテンツ、まず第一に優先すべきは「ポケモン」という不思議な生き物たちそのものであって、次にポケモンたちの生きている世界、次に魅力的なキャラクターたち(おそらく剣盾はここでもう力尽きてしまって)、その後にそのキャラクターたちの魅力を引き出すストーリー(SVはここまではほぼ完璧でした)があって、最後に世界の謎とか伏線とかの冒険要素、おそらくこういう構造ですよね。並行して対戦要素まで作らなきゃいけないのだから作り手は大変ですよ。

現代的なクオリティのゲームを作らなければならないという品質上の課題と、ポケモンの完全新作を3年おきにお出ししないといけない、そうしないと世代交代に対応できない、というシリーズものの淘汰圧とがあり、納期のギリギリまでは何とか作るけれど、これ以上は遅くできないというデッドラインがあるわけです。今ごろはメインのスタッフは第10世代に駆り出されていることでしょうし、SVをこれ以上引っ張って語っても、それはポケモンというコンテンツ全体の発展や寿命にほとんど寄与しない、要するにペイできないと判断されるのは当然のことだと思います。

なので、藍の円盤がああいう形で(スグリの成長までを描いて)終わったのは納得しています。まずはSVが本編でもしっかりできていた「キャラクター+ストーリー」の要素をしっかりと書くことまでを完品とする、とでも言うのでしょうか。そのような着地点の取り方は、完璧ではないにせよ妥当なものです。

 

※余談で、しかも妄想ですが、「博士の存在そのものがタイム・パラドックスのトリガーになっている」というのがストーリー的には一番きれいな落としどころだとは思います。このためにはテラパゴスの覚醒によって得られる真のテラスタルエネルギーの神髄が「持つ者のいかなる願いも叶える」というものであるという前提が必要です。まあ、だから確度は低いですが、「なりたい自分になる」という文脈で語られてきたテラスタルとの相性は良さそうです。以下、妄想。

まず、ヘザーという男が「ゼロの秘宝」を求め、パルデアの大穴に挑みます。ヘザーはそこでパラドックスポケモンと出会います。ヘザーの書き記したスカーレット/バイオレットブックを読み育った博士は「その書物に書かれたポケモンに会いたい」と思うようになり、結果的にテラスタルエネルギーを使ってパラドックスポケモンを自分のいる時間軸に呼び出しました(と、博士は思っています)。

その後、博士は自分自身の時空間転移を試みることになりました。それは自由の利かないわずかな時間でしたが、テラスタルエネルギーがそれを可能にしました。博士は最初の転移で、キタカミの里の「てらす池」にたどり着き、テツノオロチを連れている謎の少年/少女と出会います。彼/彼女から『ゼロの秘宝』なる書物を手に入れた博士は、次にヘザー(まだ探求の旅を始める前)のいる時代に飛びました。そこで博士はヘザーに『ゼロの秘宝』を見せる。ヘザーはそこではじめてパルデアの大穴に何かがあることを知り、その名が「ゼロの秘宝」であることを知る。パラドックスポケモンについても博士に教わり、それを「見たい」と願うようになる。ヘザーはパルデアの大穴にたどり着き、テラパゴスの持つテラスタルの力により(おそらくは本人も無自覚に)、この世界にパラドックスポケモンたちを生み出します。

この考えでは、パラドックスポケモンというものは未来・過去に実際には実在しておらず、ヘザーの願いを叶えたテラパゴス(偶発的かどうかはこの場合問題ではない)によって生まれたものであり、そのヘザーによって夢を見せられた博士がタイムマシンを生み出し、パラドックスポケモンが呼び出される(これは正確には、博士の願いに呼応して生み出されたと言えるでしょう)、そして時空間の転移により博士はヘザーと会う、それによってはじめてヘザーの願いが生まれる――。これがどうどうめぐりで、これこそがタイムパラドックスであると。

藤子・F・不二雄的な意味での。

 

閑話休題

 

そろそろ長期リストラがシャレにならなくなってきました

いや、別にバオッキーを最新のグラフィックでみたいと思っているわけではないんですよ。いや、ちょっと見たいな。腹出して寝ててほしい。というのはいいのですが、長期リストラがそろそろシャレになってないなという点です。僕の勘違いじゃなければ、ミネズミとかコラッタってポケモンが存在しましたよね?というようなぐらい、彼らが遠い記憶の存在になってしまいました。対戦だけが魅力ではないゲームですから、姿だけでも見たいんですよね。

ポケモンはたしかに本編ゲームだけではないし、レジェンズシリーズ(なんかこれ公式の認識では本編扱いらしいですが)やアニメ、カードゲームといったマルチメディアのどこかで活躍してくれれば良いとは思うんですが、それにしたってナンバリングの公式ゲームに音沙汰なしというのは少し寂しい気がします。確かに今後もポケモンの数がどんどん増えていったらこういうことは避けようがないとは思います。たとえばコラッタが第10世代で登場したあと、次に登場するのは第15世代(第10世代の15年後です)とかになるかもしれません。

今は受け皿としてポケカレジェンズ、アニメが存在しているとは思っているんですが、そういう形の受け皿を本当に作ることができなくなったときに、ポケモンって悪い意味でデジモンみたいになってしまわないかなという不安があります。キャラクターが散逸して、まとまりがなくなって、世代間の分断も大きくなりすぎて、各世代が「自分たちのコンテンツだ」と思うようになり、懐古ばかりが美談となり・・・。よそう。

まあエントロピーが増大していくように、いつかはポケモンというコンテンツも散逸化していって、最後には宇宙が無になるようにゼロに向かっていくのでしょうけれど、それまでの時間はせめて、いろんな子たちをコンスタントに見れるといいんですけど。

 

パルデア戦闘民族について

上の話とちょっと関係しているのが、パルデアのポケモンたちはそれぞれ性能が戦うことに特化しすぎているので、これもコンテンツの消費を速めている気がします。今作では爆裂に急速にしかも理不尽なほどにインフレが進みました。このことを「パルデア戦闘民族」「パルデアの器」(相変わらず言われ続けている「ガラルのヒョロガリ」も)などいろんな言葉で表現しているわけですが、要するにこれってポケモンというキャラクターを新しく生産するときに、「バトルでの性能」がありきになっているということです。

まあ、わかります。「ホウエン種族値」のような悲しみをもって生まれてくるポケモンが少しでも少なくなる方がいいというのは、対戦勢からしたら共感できることです。しかしこれは裏を返せば、「ポケモンには対戦以外に自分の相棒の個体を活躍させるコンテンツがない」ということでもあります。それで、極論ではありますが、結局それでも勝てないと判断されて使われなくなったポケモンには、居場所がないわけです。

バオッキーが活躍できるコンテンツ」が、「マスキッパが環境を取れるコンテンツ」が、「ポケモン本編の中」にあると嬉しいんですよね。そんなものを作るのはとても難しいとは思います。しかも対戦以外で・・・何かしらの方法で。たぶん、そんな「何か」の先駆けとして、お試しで作ったのが「シンクロマシン」なんじゃないでしょうか。あれを使って何をするのかはわからないけれど…。

 

おわりに

 

長くなったので最後はごく短く。

とにかく、無数の不満と夥しい不快感はあれど、本当に楽しいゲームでした。個人的にはこんなにポケモンというゲームのストーリーパートを楽しいと感じたのはBWシリーズ以来でしたね。神ゲーといって差し支えないです。

 

以上、ポケモンSVがひと段落したので感想を言う記事、でした。

とりとめのない文章なのに最後までお付き合いいただいた方はありがとうございます。

 

またこんど。